
普段なんの仕事をしようが
音楽好きなヤツらが集まれば最高です
LiL MERCY(以下 M):MULBEのことは知ってたんですがN.E.N(※注釈1)で活動するようになってから話すようになったと思います。
MULBE(以下 MB):俺も一方的にMERCYさんのことは知っていて、ただ話すタイミングが中々なくて。「いつかタイミングが来たら話すんだろうな」って思う、“近くて遠い人”みたいな。
M:俺もそんな感じです。バトルに出ていたり、吉祥寺にあったMightyDiner(※注釈2)ってお店のまわりにいた印象もありますね。
MB:印象に残るくらい、ただただ遊びに行ってましたからね(笑)。MERCYさんがやっていたパーティとか、色んなパーティに。それでAMATE-RAXI(※注釈3)でやったパーティに誘っていただいたのが、最初のブッキングだと思います。ブッキングとか、ちょっとカッコつけて言っちゃいましたけど(笑)。
M:Fla$hBacks(※注釈4)とかも出てた時だから、2014年くらいじゃないかな……。
MB:分けるわけじゃないですけど、MERCYさんは俺がバトルとかに出てもバトルMCじゃなく、ラッパーとしてちゃんと見てくれていて。
M:バトル、すごい昔から出てますよね?
MB:10年くらい前から出てますね。
M:そんなに自分はバトルをチェックしているわけじゃないんですけど、ずっと勝っているイメージで。
MB:ラッパーだったら当たり前に出て、賞金ゲトるっていうのがいいかなと思っていて。カマすって感じですね(笑)。
M:あとはやっぱりBED(※注釈5)ですよね。MIKRISくん(※注釈6)とかJBM(※注釈7)とか、BULLDAWGS(※注釈8)の面々にお互いよくしてもらってるというか。
MB:本当にそうですね。自分なんかが言うのはおこがましいですけど、BEDのヤバさは語り続けたいです。
M:俺を1番最初にフィーチャリングで呼んでくれたのがMIKRISくんで。『6 Coffin REMIX』。その日MEGA-Gは録る日じゃなかったんだけど日にちを間違えちゃって一緒の日にレコーディングして、BULLCAMPの時はMULBEと一緒の日に録ったんですよね。
MB:だからB.D.さん(※注釈9)もそうだしMACKAさん(※注釈10)もそうだし、自分がヤバい先輩たちと一緒にやらせてもらってるっていうのは本当に上がります。カッコいいHIPHOPを見せてくれる人たちがいますからね。
M:あと、自分はクラブでショットとか飲むのは上がりたいからっていうのがあるんですけど、MULBEはいつも一緒に飲んでくれますね(笑)。気持ちよく遊べる、新しい友達みたいな。
MB:パーティ、超大事ですから(笑)。MERCYさんとかみんなヤバい人たちは、パーティをやってますからね。あと、HIPHOPだったら裏方のカッコよさがあるじゃないですか? 東京で見てきたHIPHOPで、新宿の先輩だったりMUSSOさんっていうA&Rだったり、ユウジさん(※注釈11)だったり純粋にカッコいいと思いますね。レーベルもWdsoundsだったりD.L.I.P(※注釈12)だったり、MidNightMeal(※注釈13)だったり。言い方悪いかも知れないんですけど、ヘッズでも超イケてるヘッズっているじゃないですか? 例えば慎ちゃん(※注釈14)とかはリスペクトするヘッズだし。
M:そうですよね。あとは、村上さん(※注釈15)の動きとか見ていて、「あっ、MULBEと仲良いんだ」とか思いますしね。
MB:村上さん、正直どんな感じで知り合ったか覚えてないんですけど(笑)。でも、間違いないのは今着ているTシャツの岩城さん(※注釈16)っていうボスがいて、その流れだと思うんですよね。HIPHOPは見た目もすごく大切じゃないですか? ヘッズ目線で言うと、RAPじゃないだけで、村上さんも岩城さんもめちゃくちゃHIPHOPだと思うんですよ。
M:(初めてN.E.Nを見た時に)「M.O.P(※注釈17)みたいな感じだな」って思ったんですよね。あとは『N.E.N(※注釈18)』のシューレースの特典とかもすごく印象的ですね。会った時にもらったりして。
MB:D.D.Sくんと出した『N.E.N』が自分の出した最初の音源なんですけど、HIPHOPをやっている人たちは特典って当たり前のようにやってるじゃないですか? その中で「俺らしかやらないことはなんだろう?」って考えて、「レースロックやってなくない?」ってなってやったんですよね。
M:今までもN.E.Nでは音源を出しているし、ソロでもシングルや客演とかはあったと思うんですけど、なんでこのタイミングでMIX CDとしてのリリースだったんですか?
MB:「なんでMIX CDなの? イナたくない?」みたいに言ってくる人もいたんですけど、「いや、MIX CDがHIPHOPでしょ!!」っていう気持ちがあって。自分でも特殊だと思ってるんですけど、音源を出していないのにめちゃくちゃツアーをしてると思うんです。それはD.D.SくんのサイドMCと、1曲目のワンバース&ワンフックをやるためについて行ったのがデカくて。
M:それはいつごろですか?
MB:2011年ですね。
M:そこから変わらずにやり続けてるってことですね。
MB:広島で“BRAINWASH”ってパーティをやってて、それにMERCYさんやヒデオくん(※注釈19)が来てくれたことがあって。そこで自分のジャケをやってくれてるKAC(※注釈20)とかと、ピュアに飲んで遊んでもらったりしましたよね。
M:KACはああいう絵を描いたら、日本でもトップ3に入ると思うんですよね。BRAINWASHは最高のパーティで、広島だとMULBEが子供みたいな顔してて嬉しかったです(笑)。
MB:現場で身を削って酒飲んで、普段なんの仕事をしようが音楽好きなヤツらが集まれば最高ですよね。それをアウトプットした形が『MOVE』ってMIX CDでもあるんです。自分がヤバいと思うHIPHOPの、ラッパーの方々はみんなMIX CDを出してますから。
Ollie:お二人が近々で一緒に出るパーティは、8月のDEVIL’S PIE(※注釈21)ですか?
MB:そうですね、あれもMASSくん(※注釈22)がMACKAさんをぶっ込んでるのも、俺は上がりました(笑)。それをMACKAさんが受けているのも最高なんで、ぜひ遊びに来てほしいですね。
■注釈
注釈1_沖縄出身・1984年生まれのラッパーであるD.D.Sと、広島出身・1987年生まれのMULBEからなるラップデュオ。
注釈2_“StayFresh!”をコンセプトに、クラシックなアメリカンダイナーを彷彿させる空間と、厳選したインポートアイテムを揃えるアパレルショップ。
注釈3_渋谷に構え、2015年8月8日をもって惜しまれながら閉店したクラブ。
注釈4_jjj、FEBB AS YOUNG MASON、KID FRESINOによって結成されたHIPHOPクルー。
注釈5_20年以上の歴史を誇り、2019年1月末で閉店した池袋の音楽&街の文化の聖地。
注釈6_千葉が誇るラッパーであり、2018年7月に4thアルバム『HELL』
を、THE DOG HOUSEよりリリース。
注釈7_MKRISと同じく、千葉を代表する屈強なラッパー。
注釈8_B.D.、JBM、KGE、MIKRISによるHIPHOPクルー。
注釈9_ソロだけでなく、SEXORCISTやTETRAD THE GANG OF FOURとしても活躍する、最重要ラッパーのひとり。Killa Turner名義でDJとしても活躍。
注釈10_今年復活を果たしたNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのメンバーであり、トラックメイカーやDJ、音楽プロデューサーなど多岐に活躍するMACKA-CHIN。MULBEの『MOVE』では、プロデュースとDJを務める。
注釈11_GREENBACK代表。
注釈12_神奈川県の藤沢=MOSS VILLAGEを拠点に活動する、BLAHRMYとDINARY DELTA FORCEが中心となりスタートしたレーベル。
注釈13_吉祥寺を拠点とする音楽レーベル。
注釈14_全国のパーティへ足を運ぶヘッズの鑑。
注釈15_デザインチームWACKWACKのメンバー。
注釈16_アパレルブランド〈INTERBREED〉を手がけ、最近ではレコードショップdiskunionとのコラボも大きな話題に。
注釈17_ジャマル・グリネージとエリック・マレーからなる、NYブルックリン産HIPHOPデュオ。
注釈18_2015年の7月にTHINK BIGよりリースされたN.E.Nの1stアルバム。
注釈19_DOWN NORTH CAMP、MONJUに所属するラッパーの仙人掌。
注釈20_『MOVE』のジャケットを手がけたグラフィティライター。
注釈21_長野の松本でMASS-HOLEらによって開催される最高のパーティ。8/17(土)にSONICで開催。
注釈22_松本=WINTOWNを象徴するMCであり、DJであり、トラックメイカー。最新MIX CD『82DOGStape』もぜひチェックを。

この場所にMOVEのJKTを手掛けたKACがSNIPE1と一緒にミューラルをのちに描くことになるっていうのも好きな話です。
SNIPE1のミューラルに関するインタビュー記事もあるのでこちら良かったら
https://www.gpr134.tokyo/single-post/snipe1-interview-unwrapping-project