COTTON DOPE “… AND LONG LIFE” MIX CD ( BUSHBASH )

僭越ながらWDsounds / WDwebstoreを運営する自分のMIX CDを小岩のLIVEHOUSE / CLUB BUSHBASHよりリリースさせていただきました。誰かにとってホームであり、自分がホームという言葉を誰かと共有出来る場所。それはすごく日常的に家族というものを再構築し続ける行為なのかもしれない。そんな瞬間の記録のような気もするし、私が家でどこかに思いを馳せながら、聴いている音楽の記録でもあると思います。一つだけ言わせていただければ、一曲だけ7インチから使わせていただいてます。ただ、自分はその楽曲はアルバムに入っている。そう思い込んでいて、BUSHBASHのラウンジでかけていたその曲について友人から尋ねられた記憶の中でもLPが回っていたのです。

このMIXの選曲を始めたのってもしかするともう一年くらい前な気がするのですが、BUSHBASH柿沼君にオファーをいただき、その時にPHONEHEADと聴いていたレコードや、EBBTIDE RECORDSで買っていたレコード、トラスムンドで買ったLOS LOBOS(これは個人的には長めのいい話出来る気がする)を改めて聴きながら、プレイリストを作って行くうちに、なんだか自分で自分の気持ちを落ち着けてくれるものが作れた気がして来て、そんな風に上書きしながら作りました。
MIXの録音の為にブッキングしていただいたBAR COTTONDOPE的なイベントでは泥酔して全然違うレコードをかけてしまったりして、(ここでかけたSHACKSもLPだったと思うんだよな。)改めてPHONENEAD、柿沼君立会いのもとレコードをもって、phone君の針で、柿沼君のレコーダーでMIXをとらせていただきました。あの日もひどかったような気がしますが、このMIXを聴いていると穏やかな夜の話のように記憶の中に住み込んでおります。
昨日、今日とレコードの整理をしていて、RAGMENのレコードを久しぶりに聴いたのも、BUSHBASHがCOTTON DOPEにとって、J.COLUMBUSにとて、LIL MERCYにとって、澤田 政嗣にとってホームだと感じているからなのかもしれません。

これだけのお店で取り扱っていただけること。皆さんの言葉。
本当に嬉しいです。8月17日にRRCBB皆さんとB2Bで会話をするというのをやりますので、レコードもって来てくださいね!
このMIX CDを形にしてくれたRIVERSIDE READING CLUBのみなさんに心から感謝と愛を

TRASMUNDO
タラウマラ
GOOD NEAR RECORDS
LOS APSON
DIGDIG
studio tissue box(郡山)
newtone records
EBBTIDE RECORDS
道程レコード
JETSET kyoto
reverse store(岐阜)
mychair books(熊本)
people book store(つくば)
FULL COUNT WORKS
WENOD
tribeca
Banguard
LAEDBACK

WDwebstoreでは少量ですがAIWABEATS, RAMZAのBUSHBASH MIXシリーズも取り扱いあります。









information:

東京でLABEL”WDsounds”を運営、HARDCORE BAND”PAYBACK BOYS”ではヴォーカルを担当、そしてRAPPER、”J.COLUMBUS”であるCOTTON DOPE氏のMIXによるMIX CD”…AND LONG LIFE”を東京/小岩のBUSHBASHのlabelよりリリースさせて頂きます。

時間は僅かでも立ち止まることはなく何事も変わっていく。対して不変であるものも多くある。それはMIX作品が持ちうる素晴らしさの一つだと思う。そのものは変わらず、流すタイミング、聴く状況で感じ取る事/得る事は毎回違う、そしてそこから考える事も。

全て流れていつかは消えてしまうものがほとんどだとしてもCOTTON DOPE氏が選んだ音楽、パックされた空気は楔のようにここに確かにある。だが不変性がこの作品の魅力かと言えばそれは違う。

確かな瞬間を記録し私たちは今日も時間を進め前に進む。その瞬間はまた新しい素晴らしい瞬間の為に存在している。

今作は僭越ながら私が感じるCOTTON DOPE氏の人間的魅力が詰まった内容である。

それは信頼と説得力に満ちた驚かされる提案や出口のわからない森の中で見つけた道しるべのように感じる。常に感じる揺らがないタフネス、考えながら持ち続ける強さと信念、優しさと温かさ。

そして何が起きてもおかしくない、このHARDな世界で”生き残った”ストーリーを紡ぐ1人の人間の話であるとも言える。

最高の音楽がめくるめく流れるPARTY、仲間との笑顔が絶えない街でのひと時、大切な人や物事と過ごす静謐な瞬間、どの時間とも言えてどの時間でもないその人だけの特別な物事に寄り添う内容。

誰にもわかる事のない(わからなくていい)、人が持つ数限りない側面と気持ち、情景を想わせるストレートで多種多様な要素を含む私たちのクラシック。

ジャケットデザインとアートワークはMau Sniggler氏が、フロントのfont carvingはikm氏、オフィシャルレビューとガイダンスはPhonehead氏が担当。

RIVERSIDE READING CLUBを構成する皆によって作られた作品をこの世の中にリリースできる事を誇りに思います。

(text : 柿沼/BUSHBASH)

review:

「日常が特別になる瞬間、そこには幽霊がいる。」この幽霊については私にも心当たりがある。COTTON DOPEのオフィシャルリリースのMIXCDとしては前作にあたる『Marouder’s Taproom』(MIDNIGHTMEAL RECORDS 2018年)を聴きながら池袋を歩いていたとき、一見として統合不一致な街並みと一聴するだけでは統合不一致な選曲が目の前で重なり、なんでもない日常の光景が突如として起点も終点もなく振り付けもいまま永遠と続くミュージカル映画かフラッシュモブでも見ているような感覚に陥り、目眩がして西口の天丼屋の前で思わず膝をついてしまいそうになったことがある。それが”不一致である”という一点のみに於いて統合される街の光景と楽曲のセレクトとそのタイミング。感動でもあり困惑でもあるこの感覚を言い表す言葉を長らく探していて、ようやく見つかった。私はあの時この「幽霊」に出会ったのだ。

そして、今作『…AND LONG LIFE』がリリースされた。最初に断っておかないといけないのは、本作には生き残った人間が持つ、生き残った理由と生き残って成さなければいけない事柄を含む、というよりもっとそもそもの話し、他の誰かではなく自分自身のもの以外ではあり得ないこの「生」が他者との関わりの中で命題に行き着き、「人生」として生きられる、という大いなる謎についてのネタバレを含みます。冒頭はMejiro St. Boyz第4のオスOLEOのお気に入りの曲から幕を開け、終盤のイーブンキックはMSBアンセム。これらの新しいレイヤーを追加して新たに片取られたNORTH TOKYOのアウトラインは例えば西武池袋線、山手線、総武線を経由することで北と東を幾つかの改札で繋ぐことにより更に不定形に拡張して、塗られるたびに色が変わり続ける。その色彩感を感性や才能だけでは遠く及ばなくて、その上に経験や訓練を積み重ねてもまだまだ足りなくて、ついには持てる運の全てを使い果たしてもほんの少し届かない場所へ至るためについには「幽霊たち」の手を借りて選出したBASSLINESで表現している。また、全編懇意の店や個人から購入したLP盤を音源素材とする古典的方法論が強く濃く浮かび上がらせるのは、レコードの溝を針がトレースすることで音が再生されるという物理的で、本来一回性の元にある経験を録音して反復しようとするときそこにある意味と、それが鳴らされる常に流動的な私たちの生の意義との間にある新たなる統合と不統合・一致と不一致にまつわる相克であり、この運動が生起し続ける限りSOUL MUSICは必然的に鳴り止まない。

彼らは去って私たちは残ったBUSHBASHのラウンジから何度でも呼びかけよう。”AND”という接続詞の前にセレクトすべき命題を宿した人生の保持者は本作に耳を澄ませて下さい。いろいろあったけどよかったよかったと辻褄を合わせる必要なんかどこにもない。

(text : Phonehead)




プロフィール:

COTTON DOPE

文筆家。セレクター。レーベルオーナー。

その目や耳で手にした何かを紡ぎ、また世界を構築し日々を生きてます。